1998年ベイルート初演。「パレスチナ:ナクバとレジスタンスの50年」と題された思想家・アーティストらによる企画の一環で制作・発表されたビデオ・パフォーマンス。舞台上の3台のTVモニターには、パレスチナのドキュメンタリー映像や残虐シーンが氾濫し、観るものに映像の持つ力と暴力を鮮烈に問う。 |
2000年ベイルート初演。レバノン人作家エリアス・クーリーとの共同作品。実在の「カミカゼ殉教者」の遺言映像に触発され考案された同作品は、一台のテレビモニターから、ムルエ本人が演じる殉教者の最期の演説が「生中継放送」される形式をとり、メディアによる情報操作の問題を鋭く投げかける。9.11の到来を預言するかのような作品。 |
【解説】2005年、フランス・リヨンのアートンセンターLes Subsistencesのレジデンス・プログラムの一環で制作された作品。プログラムのお題は「ギロチン」。パフォーマンスは居心地の悪いカーテンコールで始まり、その反復に終始する。背面には、「ギロチンを観劇する」ことを巡るアーティスト自身のテキストが淡々と流される。 |
2002年制作のビデオ映像作品。カセットテープのA面/B面からつむぎ出されるのは、ムルエの極私的で心温まる個人史・家族史に他ならない。しかしそれらの記憶は、レバノン内戦や当時の社会状況を彷彿とさせるエピソードや映像と避けがたくシンクロしていく。死と戦争という重いテーマを、アーティストの個人的な眼差しと記憶から見つめ直す深遠な作品。 |
2003年制作のビデオ映像作品。空中から地上に落下する夢、倒壊するビル、デモ隊、殉教者の棺。デモ隊の無数の顔の中のどれが自分なのか? 強烈な集団的経験の中で、自分が何者でもないかもしれないという不安を描き出す。 |