東京国際芸術祭 english
2006年2月10日-3月27日
平成17年度文化庁国際芸術交流支援事業 主催:NPO法人アートネットワーク・ジャパン 東京国際芸術祭(TIF)について TIFアーカイブス
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『アメリカ現代戯曲&劇作家シリーズ ドラマリーディング』
by 吉田恭子(アーツ・ミッドウエスト)


プレイライツ・センター私が渡米したのは、91年の夏、日本でもアーツ・マネージメントに関する認識が高まりはじめ、学科が開設されはじめた頃でした。ニューヨーク市立大学の修士課程でパフォーミング・アーツ・マネジメントのセオリーと実践を学び、卒業後3年間をニューヨークで過ごし、その後ロサンジェルスに移り、日米文化会館に5年半勤務し、日本のアーティストの招聘やツアーを担当しました。そして2002年の3月から、米国中西部最北の地方都市、ミネアポリスに移り、米国に6つあるリージョナル・アーツ・オーガニゼーション(RAO)の一つ、アーツ・ミッド・ウェストで日米カルチュラル・トレード・ネットワークという日米芸術交流プログラムを担当しています。学生時代のインターンも含めると15年の間、北米のNPOで仕事をしてきたことになります。

 

「アーツ・マネジメントで留学した人は多いけど、卒業してからもずっと残って仕事してる人は殆どいないんだよ。アメリカによっぽど好きな人がいるんだな。」と、東京国際芸術祭(TIF)のディレクター、市村作知雄氏からは、独特のコメントをいただくのですが、私が北米に留まって仕事をしてきたのは、
ノンプロフィット・アーツ・セクターのネットワークとSynergy(シナジー)に支えられてきたからだと思います。(さすがに仕事だけでもないですが。)

 

Synergyというのは、一言で日本語に訳しにくいのですが、「共同作業の際に相生じる互扶助的エネルギー」です。これが仕事や生活の原動力になってきました。また、米国のこの業界の小さな失敗にこだわらない明るさやおおらかさも、型にはまるのが嫌いな私の性格にあっていたようです。日本の25倍という広大な国土を持ち、様々な文化的背景を持つ人々が築いてきた米国社会ならではだと思いますが、911やイラク戦争以降、こうしたアメリカ社会のポジティブな面が影をひそめ、保守化、内向化しているのはとても残念です。

 

さて、現在進行中のプロジェクトは、TIFとの共催で、北米の最新戯曲を翻訳し、日本の演出家、ドラマトゥルクを交えて練り上げ、本格的なステージ・リーディングを行うというものです。音楽やダンスに比べ、演劇、特に現代演劇は言葉の壁の問題からこれまであまり活発な交流がなされてきませんでした。しかし、聴覚、視覚、触覚を中心とした芸術交流だけではなく、言語と思想を深く掘り下げて交流することは、グローバリゼーションや、世界各地の戦争や貧困を含む社会問題が急進する現在、新たな必要性と可能性を持っていると思います。このコンセプトは、TIFの市村氏や米国側のパートナーであるミネアポリスのプレイライツ・センターとガスリー・シアターのディレクター達ともまさに、一を話せば十まで通じ、例のSynergyが発生します。また、このプロジェクトは一回限りでなく、三年に渡って展開し、日本の劇作家もプレイライツ・センターに招聘し、双方向で行います。そして、西海岸や東海岸ではなく、北米のハートランドの文化的中心地の一つミネアポリスを長期的な発信地としていくことで、全米各地で日米の現代演劇の交流が活発化すれば、素晴らしいと思います。

 

来年2月10日〜12日、西巣鴨の創造舎でのステージ・リーディングには、4本の戯曲の劇作家も来日し、ディスカッションに参加します。興味のある方は是非、お運び下さい。


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