3月3日(土) 昼公演 ポスト・パフォーマンス・トーク
高山:本日はお越しいただきましてどうもありがとうございました。今回の公演では毎回ポスト・パフォーマンス・トークをやるということになりまして、今回はPort Bということでポスト・トークを始めさせていただきます。このトークをやる意味というのも、公演が終わった後に何となくお客さんとコミュニケーションをとれる機会があれば嬉しいなと思っていまして、今回Port Bに関わってもらった人たちにこうやって出てきていただいて、1人1人自己紹介や感想などを言ってもらおうと思っています。その後で、ロビーに飲み物や簡単な食べ物を用意していますので、そちらで皆さんと歓談できればと思っています。
まず僕は演出の高山と申します。何か質問やご意見ありましたら、後で聞かせていただければと思います。では順番に。
内部:今回、衣装を縫わせていただいた内部と申します。今日初めて舞台を見たんですが、話されている言葉というより場面場面にいろんなスケールがあるなということを楽しんで観ていました。
中川:インタビューとコロスに参加させていただいた中川と申します。私は初日にも観させていただいたんですが、初日はただただ圧倒されることが多くて、声とか言葉とか音とか、そういうのがそのまま沁みこむ感じだったんですが、今日は二回目だったのですが言葉をすごく聴いていました。まだ自分の中で反芻されていて整理できていないんですが…。
中田:映像に出演させていただいた中田と申します。今日初めて拝見させていただきました。どういう風に使われるか全然知らずに来たんですが、日常とかけ離れた世界で、何て表現したらいいかわかりませんが、家に帰ってもっと整理することで、また違う楽しみ方があるのかなと思いました。
松本:映像の方で関わりました松本です。映像を撮る前に皆さんとお話をしたんですけれども、なかなかこうやって1人1人と日常のことだとか、ふだん感じていることだとか、そういうことをお話する機会がないので、そうやってお話が出来たことだけでも良かったなと思います。インタビューに出るという形で携われてよかったです。
チョキ:僕はインドネシアから来たチョキといいます。このプロジェクトに参加させていただいて本当に感謝いたします。えーと…。
高山:チョキくんとそのお隣のニケンさんはちょっと遅刻しちゃってですね、自分が出ている場面を観ていないんだよね。
観客:(笑)
高山:また後で、ビデオで観ていただければと思います。では、次どうぞ。
ニケン:インドネシアから参りましたニケンといいます。芸術に興味があるので本当にPort Bの皆さんにはありがとうと言いたいです。
暁子猫:パフォーマーの暁子猫です。今日は皆さんご来場いただきまして本当にありがたく思っています。『雲。家。』について感想を言いますと、テキストと向き合うまでにまず時間がかかりました。すごく魅力のある強いテキストだというのは感じましたし、一気に読んでしまったんですが、そこからどういう風にそれに入っていくかというのに時間がかかって、テキストの周りをぐるぐる回るような時期がしばらくありました。話し合いを何週間か続けていく中で、少しずつとっかかりが出てきて、そのうちにこういったゲストの方にお願いするというアイデアがいろいろ出てきたりしました。稽古も含めて何回かやっていく中で思うのは、魅力が尽きないというか、やるたびにいろんな新しいことを感じさせてくれる、本当に素晴らしいテキストだと、毎回感じています。
三行:Port Bでは主に映像と宣伝美術を担当している三行と申します。今日は本当にありがとうございました。いろんなご感想やご意見を聞きたいと思いますので、この後ロビーの方でつかまえてお話を聞かせてください。
井上:技術監督をやっている井上です。今までは自分が舞台に立つことも多かったんですけれども、今回は初めてスタッフに専念しました。Port Bの舞台を外から観るのは初めてで、「なかなかいいな」と勝手に思っておりますが、ぜひ皆さんのご感想を聞かせていただければと思います。
内藤:音響担当の内藤です。主に音声の製作や編集などを行いました。Port Bには初めて参加させていただいたんですが、こういった形のものは難しい部類に入ると思いますが、私が至らないところもありまして、どれだけこれを表現できて、どれだけ伝わったか心配なところもありますが、後でいろいろ言っていただければ幸いです。ありがとうございました。
宇賀神:映像を担当いたしました宇賀神と申します。演劇での仕事というのはPort B以外ではやっていなくて、普段はどちらかというとテレビや映画などのスクリーンに対する映像を作っていますが、舞台で映像を流して、しかも役者さんと映像が掛け合いをするというのは皆様にどうお感じいただいているのか、後々お話いただければと思います。もうひとつ、サンシャインというのをこの2ヶ月間見続けてきて、結果としてお墓とサンシャインとか、電車とサンシャインという映像を撮ってきたわけですが、高層建築というものがこの5年くらい立て続けに建てられていて、サンシャインだけを撮ろうとすると、他のマンションが入ってきてなかなかサンシャインだけを際立たせるのが難しかったです。それだけ都市が変わってきているというのが、今回の企画を通じて感じたことでした。どこで撮影したのかですとか、もしお分かりの方がいましたら教えていただけますと嬉しいです。
郷田:撮影助手という形で参加させていただきました郷田といいます。撮影したものをずっと見たり聞いたりしていて、それとテキストがどう組み上がっていくかというのを横から見させていただいて、今回はとてもおもしろかったです。舞台を観ていろいろ興奮したりしたことがいっぱいあったんですけれど、また後で考えて話せたらと思います。

(C)松嶋浩平
大久保:東京国際芸術祭の大久保と申します。今回は制作という形で、Port Bさんと一緒にやらせてもらっています。確か3年くらい前だったと思うのですが、慶応大学の平田先生という方を通して高山さんと初めてお会いいたしました。最初にお話したときに、本校舎で体育館を眺めながら、「体育館の空間を使っておもしろいことが出来たらいいね」という話をしていたのをいま思い出しました。ここは普通の劇場ではないですし、ご覧になっていただければわかる通り、いわゆる普通の体育館です。難しい空間なので演出家の皆さんは苦戦されるんですが、本当にここの持っている良さ、そして西巣鴨というこの土地をも含めた作品を作ってくれる人が現れたというのが、私たちにとってもすごく嬉しいことです。
私は高山さんというかPort Bの方たちの人柄がとても好きで、作品を作るたびに、若い人だったり、留学生だったり、地域の方だったりが自然な形で入ってきているというのがすごく魅力的だと思います。私も今回のテキストを読ませていただいたときには「これは一体どうするんだろう?」と思ったんですが、イェリネクが書いたテキストにいろんな方々がどんどん加わってきて、そしてそれが作品になっていくというプロセスを見せていただいて、本当に良かったと思っています。
林:林と申します。今回はテキストの翻訳に携わりました。あとドラマトゥルクとして制作に関する諸々を担当させていただきました。テキストの翻訳ということに関しましては、暁子さんのお話にもありましたように、僕にとっても、向き合うこと自体が大変なテキストで、翻訳を始めるまでにものすごく時間がかかりましたし、本当に「無理なんじゃないだろうか」と思いながらずっと付き合ってきました。ちょうど1年くらい前に『ニーチェ』という公演を横浜でやりまして、その時にPort Bで初めて翻訳を担当させていただきました。それから11月に、巣鴨の地蔵通りで『一方通行路』という野外パフォーマンスのようなことをやらせていただきまして、それが自分にとってとても大きな経験で、そういったPort Bにおける活動の流れの中でなんとか翻訳することができたと思います。
それからドラマトゥルクということに関してなんですけれども、僕がPort Bのドラマトゥルクとして考えていることは―こういった言い方をすると、舞台に出てプレッシャーをすべて一人で背負っていらっしゃる暁子さんですとか、オペレーションの方々に失礼に聞こえるかもしれませんが、僕は舞台というのはある種の結果だと思っていて、それよりもということではないのですが、すごく大事だと思っていることは「どうやって作るか」ということと、「作った後にどうするか」ということなんですね。今回も、今こうやって前に並んでいる方々がいて、本当はこの倍以上に関わっていただいた方がいらっしゃるんですが、そういう方々といろんなことを話し合いながら進めることができましたし、Port Bのコアメンバーの中でのアンサンブルも、すごく有機的に進めることができましたので、これは絶対結果が出ると信じて制作することができました。
それから、公演の後ということに関しては、芸術祭側に無理を言わせていただきまして、こうして毎日公演後にビールやワインを用意していただいて歓談の時間をいただきましたので、この後テキストに関しても舞台に関しても、何でも結構ですので、ぜひいろんなご感想をいただいて、また演劇という時間の経験を、僕らも皆さんのお力で豊かにしていければと思います。今日はどうもありがとうございました。
高山:さっき林さんも言ってましたけれど、ここにいる人たちの大体倍くらいの方々が関わっているんじゃないかと思います。いま実際僕らがこうやって立っていても、後ろでは江連亜花里さんと小川信濃さんが音響と照明をやっていて、江連さんなんかは、後ろの建築足場を組むデザインもされています。舞台で見えるものというのはごく一部なんですね。何となく、演出が全部やっていて、役者さんがいて、それだけで舞台が成り立つみたいな感じに思われてしまうところがあるんですが、実際は全然そうではなくて、いろんな関わりの中で、皆の間くらいに作品が立ち上がってくる。それがすごくおもしろいから、自分は演劇に携わっているんじゃないかと思うんですね。
今後の方向性としては、林さんが先程言ったようにプロセスが大事だと思うんです。もちろん僕はやっぱり結果を残したいという思いもあるんですが、そのプロセス自体が作品となるような、逆に作品と呼べなくなるような方向でも、これから活動していきたいと思っています。たとえばスタッフやキャストとお客さんという切れ目がもう少しなくなるような、それでも何となく「作品」になるような形にしていきたいと思っていて、そっちの方向にいくために少しずつ準備をしているような段階です。ですから今後も見守っていっていただけるとすごくありがたいですし、いろんな形で参加していただけると嬉しいなと思います。
それでは、このまま後ろのロビーでゆっくり皆さんとお話させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
