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About the work 作品について

登場人物のセリフは簡潔に切り詰められ、才気に富んでいる。しかも、夫と年上の女の関係には観客の常識的な理解を拒む官能的な設定がなされている。劇中人物の半身を闇のうちに沈めるこの造形が魅力的だ。   
−扇田昭彦(演劇評論家)[07年3月リーディング公演-リージョナルシアター・シリーズ報告書より]
 
登場人物一人ひとりの心の襞を執拗に切り刻む。人物も血を流しているが、作者も血を流している。「不毛」とか「孤独」といったコトバが色あせてみえるほどの「絶望」をひきうけて、山岡は「人間」を描いた。  
−小堀純(編集者・ライター) [07年3月リーディング公演-リージョナルシアター・シリーズ報告書より]
 
暗示的な設定、繊細な心理描写、ユーモア。高い完成度に眼をみはった。 
−太田耕人(京都教育大教授)[07年5月 魚灯本公演−京都新聞]

ストーリー

―目の前に存在するのは、ただの静物―
老朽化が進み空き部屋が多くなった団地。初夏。
久しぶりに家に帰ってきた男は、妻が誰の子かわからない子供を身篭っていることを知る。受け入れられない夫婦はそれぞれに拒否反応をおこすが、そんな中、男は一人の女と出会う。 女が住む部屋からは夫婦が住む部屋がよく覗える。妻の浮気を疑う男は、女の部屋から妻の様子を観察し始める。しかし妻は一向にそんな気配をみせない。
そして男は、この奇妙な同居生活を続けるうちに女から離れられなくなっていく。部屋の中には次々と新しい物が女の手によって拾われ運び込まれる。
拾われた物に囲まれながら、男はその女に妻の姿を重ね合わせるようになるのだが…。
夏祭りを目前に控えた団地の一角で静物たちの日常が動き出す。