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About the work 作品について

Port Bの「ツアー・パフォーマンス」

2006年秋、巣鴨地蔵通り商店街を「舞台」とした公演『一方通行路』は、新聞やテレビなど、各種メディアに取り上げられ、追加公演を行う盛況を博した。地域住民や地元商店街の協力のもと、実施の都市を舞台とし、アートと観光、芸術政策と地域振興の融合という側面を打ち出したこの「ツアー・パフォーマンス」は、現代社会における演劇の新しい形式を呈示した。 今回は東京観光の代名詞「はとバス」と協力し、またガイド歴35年の元名物ガイド・及川光代さんを「ゲスト・パフォーマー」として迎え、東京観光の新しいかたちを探る。

「オリンピック」というテーマによって実現されるのは、「1964-2007-2016」という、「過去-現在-未来」をつなぐ「旅」。「はとバス」からゆったりと街並みを眺めつつ、パフォーマンス・ユニットPort Bならではの刺激的な仕掛けも楽しむことのできる、ひと味違ったバスツアーを体験できるだろう。


『東京/オリンピック』の旅


次々と新たな名所が生まれ、観光スポットとして賑わう都市、東京。しかしその一方で、東京ほどその表層に「歴史」を感じられない都市もない。いまの東京に必要な「観光」、欠けている「旅」とは、歴史を巡る「時間旅行」ではないだろうか。「過去」を辿ることが「現在」を問いなおし、そして「未来」を思考することになるような「旅」、それこそが、今の東京において本当に「新しい」観光であるはずだ。

『東京/オリンピック』は、そうした旅である。東京都は目下、2016年のオリンピックに向けて、精力的な誘致活動を展開している。思えば、1964年(昭和39年)の東京オリンピックは、東京を現在の形に変える一大転機で、何より時代の象徴だった。

この「旅」は、代々木競技場、国立競技場、武道館といった象徴的なオリンピック建築巡りからスタートする。高度経済成長という「過去」の記憶をさかのぼったのち、再び「現代」へ浮上し、遂には多くの若者たちが集まる秋葉原のゲームセンターさえ訪問する。それぞれの訪問地にはPort Bによる「アトラクション」が用意されており、日常とは異なるやり方で「東京」を体験する。そのような「旅」の中で、現在の「東京」とそこに住まう人間の生き方や価値観は相対化され、別の顔を見せて現れてくることだろう。ツアーは、参加者一人一人が自分にとっての「東京」を新たにつくりなおし、その未来を想像/創造する契機となるはずである。